声の重要性 頁3

頁2では、理想的な声の特徴を整理した。では、舞台や撮影でこの声を常に出し続けるには何が必要か?

声は、鼻や口から吸う空気が、声帯を大きく振動させ、その振動が口腔内の壁にぶつかることで周りに聞こえる声になる。

つまり、この声に重要な事は空気の量になる。空気の量が増えれば増えるほど、声帯の振動は激しくそれだけ外に大きな声となって発せられる。例えば山頂で「やっほー!」とやまびこを期待して大声を響かせたい時、100人中100人が大きく息を吸い込むことだろう。

ただ、大きく息を吸い込むことは誰にでも出来る。役者として必要なことはこの声に最も重大な影響力を持つ「空気」をコントロールする能力だ。これが一番地味、かつ挫折の連続だと思う。実際私も空気のコントロールには気持ちが乗らない日が多く、サボりの常習だった。

空気量のコントロールには何が必要のか?それは一度に大量に空気を取り込む事の出来る肺のコントロールにかかっている。呼吸の仕方には二つの方法がある。

一つは胸呼吸、この呼吸は肋骨の間の筋肉を伸縮させ、その伸縮によって生じたスペースに空気を取り込む方法である。これは98%以上の人が産まれてからの日常生活ではこの呼吸を当たり前に行っているため、出来て当然である。生きるための呼吸法

そして役者に必要なのが、腹式呼吸、この呼吸は肺の下の横隔膜を下にさげることで体内のスペースを確保、その出来たスペースに空気を取り込む呼吸。この呼吸法の最も良い点は、限界を作らない点だ。横隔膜を下げることは最大骨盤下まで到達することが出来る。一方の胸呼吸では肋骨と肺のスペースは極々小さい。そのためいくら空気を取り込もうと呼吸をしてみても、すぐに肺のキャパシティは満杯になってしまう。

一方の腹式呼吸では、先の横隔膜を下げる技術さえ身に付けてしまえば肺のキャパシティを格段に広げることが出来、必然その肺に取り込むことの出来た空気量は理想的な声の大きさとなって観客席に届くことになるだろう。

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