声の重要性 頁4

腹式呼吸を行うことで、肺に入れる空気量を増大。この増えた空気が大きな、より人の耳に快適な声となって届く。

しかし、これには一日だけ訓練したからといって、直ぐに身につくものではない。劇団四季のミュージカルで主役をはる人の話を聞いたことがある。舞台に立つには、日々の稽古が欠かせない。稽古とは、自分の監督の脚本の全てを、ひとところに注ぐこと。共演者とともにその方向性を探る過程。この稽古には、何日も何日も時間と手間をかけて、丁寧に紡ぎ出す。一日のうち朝から晩までひたすらに繰り返す。

それとは別に、彼は独自のトレーニングを行う。物凄い稽古時間とは別で。

その一つ、最も大切かつ時間をさくのが腹式呼吸だと言う。呼吸は何よりも声に直結する。その声が観客席に、届かないといくら稽古に時間を費やしてもそれはマスターベーションと変わらない。

ひとりよがりの演技はいくらでも出来る。ただそれは観客を置いていく。観客も貴重な時間を移動時間、スケジュールの調整等した上で劇場に足を運んでくれている。

その事を、一番大切に理解しているからこそ。どんなにヘトヘトに疲れていても劇場の最後尾まで声が届くよう毎日欠かすことがないそうだ。

人を惹きつける声というのは、そんな地味だが絶え間ない努力の中で輝くものだと思う。

事実、彼の舞台は連日満席のキャンセル待ちが絶えない。

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